誰もが直観的に操作できる
レーザ加工機を開発したい
平野舜也 SHUNYA HIRANO
2019年入社
工学研究科 出身
株式会社牧野フライス製作所
LASER事業部 営業技術部
加工技術開発課
マキノを選んだ理由は、
他にはないフレンドリーな雰囲気
最初に興味を持ったのは、学生時代に工場見学をしたときです。他のメーカーにも見学へ行っていましたが、マキノだけ違うなと思いました。雰囲気が温かく感じたことを覚えています。先輩方のコミュニケーションが自然体で、協力的でフレンドリーな様子が印象に残りました。
実際、入社してみると、工場見学のときの印象そのままでした。同僚と休憩時間によくコーヒーを飲んだり、お菓子を食べたりしながら、仕事の相談や他愛のない話をしています。こうしたときに意外とよいアイデアが出るので、自分にとって大切な時間ですね。会社を選ぶときには、ぜひ雰囲気も大事にしてみてください。
レーザ加工機の研究は、
毎日が発見の連続
所属先では、レーザ加工機の加工技術開発を行っています。レーザ加工機で何ができるのかの可能性を追求する研究です。マキノの中では、新しくできた部署のひとつです。配属された人の大半は、レーザに関わるのは初めてなので、毎日が発見の連続です。従来の加工機では加工できない材料を扱うことが多く、今まで見たこともないような材料をどう加工しようか悩んだり、試行錯誤したりするのが面白いところです。正直、ゴールがわからない部分もあるので、一個ずつ泥くさく潰していく根気強さも必要です。
他社のレーザ加工機との一番の違いは、水の要素を組み込んでいることです。ユニークな技術なので競合他社がないわけではありませんが、非常に少ないです。一般的なレーザ加工は、レンズからレーザを集光しているので、加工面が砂時計のようなテーパになってしまいます。しかし、水の中にレーザを誘導させることで加工面をストレートにすることができるので、品質が向上するわけです。また、レーザは光を使った高エネルギーの加工なので熱が入ってしまいますが、加工に水を使うことで冷却することができます。熱の影響を小さくすることができるのも、マキノのレーザ加工機の強みです。
レーザ加工機が活躍する分野として注目しているのは、半導体の分野です。半導体にはこれまでSi(シリコン)が使われてきましたが、次世代の材料としてSiC(炭化ケイ素)が注目されていて、これが非常に硬いのです。さらに、その先の材料としてダイヤモンドも注目されています。加工は結局、硬いものと硬いものをぶつけて行うものなので、この世で一番硬いダイヤモンドは、ダイヤモンドかレーザでしか加工できないことになります。でも、一般的なレーザだと、先ほどお伝えしたように加工面に砂時計のようなテーパがついてしまいます。ダイヤモンドは高価ですから、もったいないですよね。そこで、マキノのレーザを使ってもらうと垂直に、無駄なく加工できるのです。最近、ようやくSiCが市場に出始めたばかりですが、レーザ加工機はその先の未来も狙うことができます。今後、需要は間違いなく増えるでしょうし、大きな可能性を秘めていると思っています。
レーザ加工機の敷居を低くして、
裾野をどんどん広げたい
これまでを振り返って印象に残っているのは、加工品質改善の課題に取り組んでいたときのことです。複数ある加工条件のパラメータを調整していき、非常に多くのデータを取りました。その際、疲れていたせいもあって、間違った数値を入れてしまったのです。当然、間違った結果が出ると思いますよね。ところが予想に反して、興味深い結果が得られたのです。今までの穴加工ではワーク上面の品質が悪く、改善したいと試行錯誤していたのですが、今までの加工の中で一番品質良く加工できました。偶然のミスが前進につながったのです。
この課題は、レーザに関わった当初から取り組んでいたものです。それが、こんな形で解決するとは思ってもみませんでした。ただの間違いだと見過ごすのではなく、ちゃんと気づけたのもよかったと思います。この経験は、間違いなく自分の中でのターニングポイントになりました。
これからの目標としては、レーザ加工機の敷居をどんどん低くして、裾野をどんどん広げていきたいと思っています。従来の加工機は、誰もが扱えるものではありません。切削加工ひとつとっても、工具とワークを実際に接触させるので非常に神経を使います。でも、レーザ加工機は非接触加工なので、比較的安全です。そういう意味では、使う人にとって易しい加工機だと思うのです。加工機のみならず、機械を扱える職人さんはどんどん減っています。そんなとき、機械をまったく触ったことのない人、昨日までまったく違う仕事をしていた人が、すぐに扱えるようなレーザ加工機があったら、多くの人に喜ばれるのではないでしょうか。
スマートフォンは誰でも直感的に操作することができますよね。スマートフォンのように、機械を操作するだけで誰でも加工ができるようなレーザ加工機、そういうものを目指していきたいと思っています。
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